皆様、こんにちは。
今回のスタッフコラムでは、昨年よりJDRにてお取り扱いをしている、新世代のプラスチック製リード”Lnkリード”…その詳細をご紹介していきたいと思います。少し長くなってしまうかもしれませんので、気になるテーマ・トピックへ読み飛ばせるよう目次で一覧化しています!プラスチック製リードにご関心のある方、「実際どうなのだろう…?」と思われている方のご参考になればと思っておりますので是非ご覧いただけますと幸いです!
【目次】
Lnkリードはいかにして生まれたのか?
Lnkリードの始まりはドイツのクラリネットメーカーである”Leitner&Kraus”社とプラスチック材料の専門企業である”neo-plastics”社の協創から始まりました。『木製リードの持つ音色はそのままに、材料として「ばらつき」が無く、安定したプラスチック樹脂から新しいリードを作れないだろうか?』…そんな思いから、木管楽器のリードに適した材料を独自開発し生まれたのがこのLnkリードになります。


(Lnkリード公式HPより:https://lnk-reeds.de/en)
クラリネットから始まったLnkリードですが、後にミュンヘンにてオーボエ専門店を営むステファン・ピーガー氏と共同してこの新素材を利用したオーボエリードの開発に着手、その第一弾としてケーン部をプラスチック材料にしたチューブタイプの“Cut 37”シリーズをリリース。続いて昨年末には、全体がプラスチックでできた一体型タイプの“Cut1”シリーズかリリースされました。現在ではクラリネット、オーボエ、サックス用リードの3展開となっています。
LnKリードの特徴
それでは、現在発売されているLnkリードの概要と”Cut37″、”Cut1″シリーズについてそれぞれの特徴を見ていきたいと思います。
・Cut37 シリーズ
Cut37シリーズは、チューブにキアルジ2の45mmを使用し、ケーン部がプラスチック製となっています。リード全長は約70mmとなっていて、見た目はよく見るオーボエリードと変わりありません。ちなみにLnkリードに使用されているプラスチック材料は特性として、通常のケーンに比べ『音程が下がりやすくなる傾向』があるため、比較的短い45㎜のチューブを使用しているとのことです。

タイプは「S(ソフト)」、「M(ミディアム)」、「H(ハード)」の3展開となっており、それぞれチューブの上部に青字でスタンプが押されています(写真では「H」のスタンプが位置の都合上見えませんが…)。JDRではお取り扱いを開始して1年が経とうとしていますが、「H」はやや取り扱いに難を感じられる方が多いらしく、「S」または「M」タイプが人気となっているため、基本的にはこの2つをメインで取り扱い、「H」タイプについては受注の上、お取り寄せで注文を受け付けしています。
・Cut1 シリーズ
Cut1シリーズはチューブ部分も完全にプラスチックから作成した、全体が一体型となっているタイプのリードです。チューブに相当する部分の形状はオーボエの金属製チューブに類似した形となっており、カラーリング状のゴムによってタイプの見分けがつきます(ちなみにチューブ形状の参考にされたのは、キアルジ2の金属製チューブとのことです)。

タイプは写真左から「S(ソフト、橙)」、「M(ミディアム、青)」、「H(ハード、ピンク)」に加え「XH(エクストラハード、茶色)」の4展開となっています。ただ、このXHタイプはかなり重く、使用者を選ぶ(本当に激重が好きな人向け!)タイプになるため、メーカーの方でも受注発注という取り扱いになっています。Cut1シリーズは昨年末~年始にかけてお取り扱いを開始しましたが、Cut37のような偏りが少なく、皆様それぞれの好みに合わせて「S」、「M」、「H」タイプ満遍なく人気です。
やはり、全体が樹脂製となると、響きの感覚も通常のリード、そしてCut37タイプともまた変わってくるため、単純に「S」→「M」→「H」(軽い~重い)という視点だけでなく、店頭でサンプルを試奏される方の場合は、総合的な吹奏感を確かめ自分に合っているタイプを選択される方が多い印象です。実際吹いてみると、Cut37とCut1でやはり感触は異なります。
・Lnkリードの材料の特徴(性質、耐久性…について)
【材料の性質】
「S(ソフト)」、「M(ミディアム)」、「H(ハード)」など様々なラインナップがあるLnkリード…タイプに応じてそれぞれ材料が違うのかと思いきや実は『全て同じプラスチック材料でできている』のです!
「同じ材料で、どうしてS・M・Hなどの幅が作れるのか…?」というのが疑問だったのですが、メーカの方に伺ったところタイプ間でリードの厚みそのものに違いはなく「熱を加えた際のリードの開き具合の微妙な調整」でコントロールをしているとのことです。もう少し具体的には、この材料は100℃の熱(お湯)で柔らかくなり、リードの開き具合を変えることができます。その開き具合によって、冷めて固まった後に材料にかかる張力(テンション)が変わり、タイプの作り分けができるのです。
「ということは…Lnkリードを一本買えば、お湯につけて自分の好みの感じに調整できる?!」…という風に思われる方も多いはず!…確かに、理屈としては調整可能なのですが、微妙な調節の違いで変化してしまうので、メーカーでは専門の器具や水蒸気を当てるなどの加工によって開きの調整しており、手作業で好みのタイプを狙うのは難しい…というのが実際のところのようです(ややリスキーではありますが、意欲的な方はトライされてみてもいいかもしれません…)。
【材料の耐久性、継時変化について】
ケーンとは異なるプラスチックリード…Lnkリードの場合、平均的な耐久性は使用頻度にも依りますが、通常のケーンリードの10倍が目安になるとのことです。プラスチック製材料の強みとして、室温や湿度に対する変化が少ないという点がありますが、やはり使っていくうえで「振動させる」、「圧をかける」といったことをするわけですから消耗的な意味で時間的な変化というのはあるということですね。
【ナイフで削って調整はできるのか?】
メーカーさん曰く、削って調整することも可能とのこと。どこをどのように削って調整すればよいかという考え方について、Lnkリードについては基本的にケーンリードと同様に考えればよく、プラスチック製リードだから特別なことというのはありません。ただ、注意しなければいけないのは「削りに対する変化がケーンに比べ非常に大きい」ということです。ケーンのリードに比べ、ほんのわずかに削っただけでも影響が大きいため、通常のリードを調整する感覚でナイフやブレードで削ってしまうと変化が思ったよりも大きくなってしまい「削りすぎてしまった…」となってしまう可能性が大きいとのこと…。メーカーさんとしては、もし調整にトライされるなら、ガラスヤスリや耐水ペーパーなど、ほんの少しずつ調整できるものを使うのが推奨とのことでした。
・実際どうなんだろう、Lnkリード(お客様の声・ご意見)
JDRではLnkリードのお取り扱い開始以来、多くの皆様にご好評を頂いており、人気タイプについては入荷をお待ちいただくことも💦
実際に使用されたご意見や感想として多く頂くのは、「木の振動・吹き心地に近く、扱いやすい」というものです。「これだけのクオリティならリードに悩まなくて済む!」と思われる方もいらっしゃれば、「やっぱり葦のリードがいいけれど、指をさらったり練習用としてなら十分使い勝手が良い」というご意見も頂いています。
一方で「自分には合わなかった」、「難しかった」というご意見も…その理由としては先程も述べたプラスチック材料の特性として『音程が下がりやすくなる傾向』があり、「音程をコントロールすることができない」、「どうしてもぶら下がってしまう」という声や、「やっぱり木のリードの方が感触がいい」といったご意見を伺っております。
いかがだったでしょうか…?これまでも様々な合成プラスチックリードが出てきましたが、Lnkリードはまた新しい可能性を感じさせてくれるシリーズになるかもしれません…!
JDRでは店頭にてご購入の場合お試しサンプルリードの試奏も可能となっております(※販売の際は新品の未使用のリードをお渡し)。是非、お求めいただけますと幸いです!



