抜けなくなったら大ピンチ!〜ファゴットスワブ編〜

JDRリペアマンのつぶやき

新年度も1ヶ月が経ち、

『ファゴット始めました!』

という方もいらっしゃる事と思います。

ようこそ!ダブルリードの世界へ!!

 

前回のオーボエスワブに引き続き、ファゴットのスワブを通すときの注意点をお伝えしたいと思います!

既にファゴットを演奏されている方も復習としてご覧いただけたらと思います!

なぜ今さらスワブのお話かというと、

スワブを通す時に、意図せず詰まるから。

スワブ抜き取り修理にご来店された方のお話を聞くと、

『急いで片付けた時についついシャッ!っと速くノールックでスワブを通してしまい、うっかり詰まらせてしまった!』

実は≪取り扱いに慣れている方が急いでいる時≫が多いのです。

片付けの時間が限られていると思いますが、ゆっくり丁寧に手入れする事でマイナートラブルを防げます!

では始めていきます。

今回の記事ではよく使われている紐タイプのスワブを使用します。
(写真では結び目などを大げさに表現しています)

※スワブによって、テナー用とブーツ用に分かれているスワブもありますので、それぞれ専用のサイズをご使用ください。

【ボーカル】
ボーカルにはピアニッシモホール(ウィスパーホール)が管内に伸びていますので、結び目やシワがあるとスワブは詰まります!

必ずスワブを伸ばしてスワブをボーカルに入れていきます。

ナイロンを通したら引っ張る前にスワブが伸びている事を確認します。
クロス部分が管内に入っていく様子を見ながらゆっくり引きます。

ボーカルの曲がりを防ぐために、リードの差し込み口に近い方を持って引き抜きましょう。

ゆっくり引き抜くとスワブが水分をよく吸ってくれます。

 

【テナージョイント】
同様にスワブを伸ばし結び目がないかチェックします。

      

また、オモリと逆側の紐が同時に出てしまうとほぼ詰まります。

内径の太い方(ジョイント側)から通します。

楽器の向きをトーンホールがない方を下にするとオモリが穴に引っかからず内面を伝っていけます。

クロス部分が管内に入っていく様子を見ながらゆっくり引きます。

スワブによっては全て引き抜けないタイプがあります。
オモリの反対側が出ていることを確認しながらやりましょう。

クロス部分がボーカル差し込み口まできたら逆(ジョイント側)へ引き抜きます。

スワブを速いスピードで通すと、スワブの摩擦でトーンホールや管内を痛めてしまうこともあります!

 

【ブーツジョイント】

U字管を外してからスワブを通します。
まずU字管の水抜きです。

ブーツジョイントを逆さまにするとU字管に溜まった水がトーンホール内部からタンポに着いてしまいますので注意します。


上向きでU字管を外し水抜きをします。

U字管内部はティッシュやガーゼなどで拭きます。

 

テナージョイント側にもスワブを通します。
バスジョイント側は湿っていたらスワブを通しましょう。

ブーツジョイントはスワブを最後まで引き抜けるタイプが多いですが、詰まり防止や水分を吸ってもらうために『ゆっくり』引き抜きましょう。

バスジョイントとベルにはほとんど水分が付きませんが、楽器を横置きした時などにU字管の水分が流れてしまうことがあります。
湿っていたらスワブで拭き取りましょう。

 

おさらいです。

・スワブは伸ばしてから

・ゆっくり引き抜く

・無理矢理引っ張らない

この3点を気にしていただけると、トラブルが減ります!

それでも詰まってしまった場合は引き抜こうとせず修理にお持ちください!

※スワブの抜き取り修理の際に、場合によってはスワブが破れてしまう事があります。ご了承ください。

 

それでは皆さん、楽しいファゴットライフをお過ごしください☆

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