キーコルクのお話 オーボエ編

JDRリペアマンのつぶやき

楽器の調整内容にも含まれる「キーコルク」の調整。
今回はキーコルクについてのご紹介、オーボエ編をお届けします。

JDRのキーコルク調整で使用している〈天然コルクシート〉と〈合成コルクシート〉に絞ってご紹介します。
コルクは、キーとキーの間や、キーと管体の間等に貼り付けられており、硬いもの同士が直接当たって雑音が出ることを防ぐ役割を担っています。
(画像 左:天然コルクシート 右:合成コルクシート)

【天然コルクシート】
その名の通りコルク樫の表皮から採れる天然コルクを、既定の厚みになるよう、シート状に加工したものです。
主にジョイントコルクや、キーと管体の間に貼り付けてあることが多いです。 (例:第一オクターブキー)

合成コルクに比べて柔らかく、軽いのが特徴です。
その分圧力に弱く、へこんでしまったり、欠けやすくなってしまうことがあります。

【合成コルクシート】
合成コルクはラバーコルク、ハイカーコルクなど、さまざまな呼び方があります。合成ゴムの中にコルク粒子を均一に分散したものです。
調整ネジの下など、キーとキーの間に貼り付けてあることが多いです。(例:上管G#キー)

天然コルクに比べると、密度があるため圧力への耐性や強度は高くなります。

【キーコルク調整における2種の使い分け】
JDRでは基本的に、キーと管体の間は天然コルク、キーとキーの間は合成コルクになるよう、修理/検品時に変えています。

下の画像はオーボエの同じキーの比較画像です。左が合成コルク、右が天然コルクになります。

それぞれ違う中古品の同じ箇所のパーツですが、右の天然コルクの方はネジの跡が残ってしまっているのがお分かりいただけるかと思います。
楽器を使用することにより、へこみが生じ、調整が崩れてしまったり、コルクに穴が開いたりしてネジがキーに直接触れることで、操作時の雑音の原因になることがあります。
そこで耐久性を重視して合成コルクに交換することで、コルクがへこむことによる調整の崩れをより少なくしたり、雑音を防止したりしています。
また、調整ネジの下に当たるコルクは、交換によって多少厚みや弾力が変化してしまうため、ただ貼付するだけでなく、交換箇所以外も含めてバランスを調整しています。

天然コルクは合成コルクよりも弾力性があり、消音効果がよりあるため、キーと管体の間に貼り付けます。

いかがでしたでしょうか。
貼るだけのようで実は奥が深い、キーコルクのご紹介でした。
コルクだけでも異音や調整の改善につながることが多いですので、気になることがあれは是非ご相談ください。

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