知っておきたい楽器の組み立て・分解~ファゴット編~

JDRリペアマンのつぶやき

皆さんこんにちは!
前回に引き続き、楽器の組み立て・分解方法についてです。
今回はファゴットです!

 

*組み立て方法

今回は4ピースの楽器を主に説明していきます。
なかなか沢山のパーツで構成されているファゴットですが、組み立ての順番としては、

①U字管・U字管キャップ(取り外して保管している場合)
②ブーツジョイント+テナージョイント
③ブーツジョイント+ロングジョイント
④ロングジョイント+ベルジョイント
⑤バランサー・ハンドレスト
⑥ボーカル

上記の順番で組み立てていくのが比較的安全です。

作業時はオーボエと同様に、極力キーに力を加えずに持つことが大切です。
キーの無い部分を持つか、難しい場合は長いパイプ部(PPキー等)を避けて持ちます。

また、U字管キャップの凹みの原因となるため、地面や固い床の上での組み立ては避けましょう!

 

①U字管・U字管キャップ

管体側の雄ネジ・ピンに穴の位置を合わせて真っ直ぐはめこみます。
機種によってはピンの位置が左右で違うものもあるので、U字管側の向きも一致しているか必ず確認しましょう。

管体側にはめこんだら、ネジで固定します。
ネジに溝が切られている場合は、ドライバーを使用するとよりしっかり固定できます。

ネジ山をつぶしてしまう恐れがある為、ネジ溝に合ったドライバーを使用してください!
U字管の取り付けができたら、キャップをはめます。

 

②ブーツジョイント+テナージョイント

ジョイントを組立てる際は、左右交互に少しずつ回しながら押し込むようにすると比較的組み立て易くなります。
大きく回し過ぎると連絡部のキーがぶつかる恐れがあるため、しっかり確認しましょう。

真っ直ぐ奥まで差し込めたら、接続部のキーが正しく重なっているかチェックします。

また、ジョイント部を上から見た際に、バスジョイントの受け口の円と、
テナージョイントの内側のへこみの角度がそろうよう、位置を調整します。(画像赤線部)

③ブーツジョイント+バスジョイント

こちらも②と同様に左右交互に回しながら組み立てる方法がやり易いですが、あまり大きく回すと、
左手小指のレバーをテナージョイントにぶつけたり、ジョイントピンの台座同士がぶつかって
破損してしまう恐れがあるため、必ず確認しながら組み立てるようにしましょう。

ジョイントピンがあるものは、テナー側と真っ直ぐ組めるよう調整します。

ジョイントピンが無く、バス側にガイドがあるもの(ヤマハ等)は、
テナージョイントの縁に添うよう調整しましょう。

④バスジョイント+ベルジョイント

ベルを組立てる際は、接続部のキーをぶつけてしまうとフェルトの剥がれやキーが曲がる恐れがあるため、
軽くベルのLowB♭キーを押さえながら組み立てます。
5ピースの場合は、同時にLowHキーも押さえましょう。

組み立て後、接続部にズレがないか確認します。

また、5ピースの楽器の場合は、接続部にズレが無いよう組み立て、
管体にガイドがあるものはそこに合わせて位置を調整しましょう。

 

⑤バランサー・ハンドレスト

ブーツジョイント上部の穴にピン部を差し込み、ジョイントリングを挟むような形でネジを締めます。
ピン部の折れ・破損を防ぐため、必ず真っ直ぐ差し込みましょう。

ネジを締める時、それぞれの穴位置が合っているか確認してから取り付けてください。

ハンドレストも一緒に組み立てていきます。

 

⑥ボーカル

ボーカルを抜き差しする時は、根本の部分を包むように持つようにしましょう。
絶対に先端の方は持たないようにしてください!(曲がる恐れがあります)

また、PPタンポの破損を防ぐため、PPキーを操作しない、
合わせてPPロックキーが作動していない状態になっているか必ず確認してから組み立てましょう。

固い場合は、コルクグリスを使用して無理なく抜き差しできる状態で組み立てましょう。
(コルクの劣化を防ぐため、使用後は必ずきれいにふき取ってください)

軽く左右に回しながら差し込み、ボーカルのトーンホールをタンポがPPキーを操作した時に塞げるよう
角度を調整します。

*分解方法*

分解時の手順は、組み立て時の逆で行っていきます。
注意点も先ほどと同じ点が多いですが、引き続きひとつひとつチェックしながら進めていきましょう。

ジョイントの分解時は、組み立て時と同じように左右交互に少しずつ回しながら抜いていきます。
その方法でも固くて抜きづらい場合(特にヤマハ・FOX等)は、前後にカタカタ揺らすように抜いていくと、
比較的分解し易くなります。

 

①ボーカル

組み立て時と同じく、持ち方・PPタンポに注意しながら左右に軽く回しながら抜いていきます。
PPロックキーの外し忘れにも注意しましょう。

 

②バランサー・ハンドレスト

バランサーは勢いよく抜くと、管体を傷つけたり、本体が折れたりする恐れがあるため、
少しずつ慎重に、真っ直ぐ抜くようにしましょう。
また、取り付けたまま保管する場合は、テナー・バスの分解時にぶつけない様、特に注意してください。

 

③ベルジョイント

この時も接続部をぶつけないよう注意しながら抜いていきましょう。

 

④バスジョイント

分解前には、ジョイントピンを外しているか必ず確認しましょう。
この時も組み立て時と同様に、左手小指キー・ジョイントピン部をぶつけない様、
回して抜くときは必ず確認しながら抜いていきましょう。

 

⑤テナージョイント

バランサーを付けたまま分解する場合は、特に根本がぶつからないよう確認しながら分解しましょう。
回して抜く際の回しすぎにも注意です。

 

⑥U字管・キャップ

U字管キャップを抜く時は、楕円の広い面を前にして全体をしっかり持ち、
左右交互に少しずつ傾けながら抜いていきます。
U字管の分解時にドライバーを用いる場合は、組み立て時と同じくネジ溝と合っているものを使用しましょう。

 

 

 

以上がファゴットの組み立て・分解方法です!

続けてオーボエ・ファゴットの組み立て・分解を説明していきましたが、
やはりそのタイミングでトラブルが発生しやすいため、日々の演奏前・演奏後、
トラブルを予防するために注意して行っていきましょう!

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